
XREAL One Proを自費購入して約半年が経ったころ、VITUREから最新モデル「Luma Ultra」をご提供いただいた。

前回のレビューで書いたとおり、XREAL One Proの体験は素晴らしいものだったが、発熱・外見・手元が見えない問題など、無視できない欠点もあった。
今回のレビューの核心は一点だ──VITURE Luma UltraはXREAL One Proの課題を克服しているか?
目次
① 開封:センスの差に驚く

箱を開けた瞬間に「あ、これはXREALとは別物だ」と感じた。
VITUREは米国カリフォルニア拠点のブランドで、パッケージデザインから漂うユーザー体験へのこだわりが桁違いだ。
北京拠点のXREALが「無骨・堅牢・エンジニア的」なブランディングだとすれば、VITUREは「カリフォルニアのストリートセンス×テクノロジー」。
同じARグラスというカテゴリでも、まったく異なる設計思想が対照的で面白い。
さらに公式オプションの充実ぶりに圧倒された。
XREALはシンプルな同梱物でサードパーティー製コネクターを別途購入する必要があったが、VITUREは最初から豊富な公式オプションが揃っている。

なかでも特筆すべきは、世界初のNintendo Switch 2対応ARグラスとしての機能だ(私はSwitch 2を持っていないため友人に借りてテストした)。
専用のSwitch用コネクター──大容量モバイルバッテリーを兼ねた仕様──を使うと、Nintendo SwitchおよびSwitch 2をARグラスで楽しめる。
しかも2台同時接続に対応しているため、2人プレイも可能だ。

ゲーム機との相性という点では、現行のARグラス市場でVITURE Luma Ultraの右に出るものはない。
さらに8BitDoとのコラボコントローラーが用意されているのもアツい。今だけ限定でプレゼントキャンペーンも行われているようなので、この機会にぜひ入手してほしい。
8BitDoは私自身もゲーム開発で愛用している高機能コントローラーブランドで、VITUREとのコラボエディションの完成度も高く、開封の時点でテンションが上がった。

キャンペーンも適宜実施中なので、今すぐ公式サイトにチェックしに行こう。
② スペック比較:見た目以上に設計思想が違う
VITURE Luma UltraとXREAL One ProはどちらもマイクロOLEDパネルと光学コンバイナーで構成されたbirdbath光学系だが、プリズムの設計思想がまるで異なる。
XREAL One Proは矩形型の水平プリズムを採用しており、視野角は57°と広く没入感が高い。反面、プリズム構造上、手元がほぼ見えない。
対してVITURE Luma Ultraは三角形の傾斜プリズムを採用しており、視野角は52°と若干狭くなるが、手元の視認性が格段に高い。

アスペクト比の違いも重要だ。
XREAL One Proが16:9(1920×1080)なのに対し、VITURE Luma Ultraは16:10(1920×1200)。
横幅は同じでも縦に120ピクセル多く、BlenderなどUIが縦方向に広いクリエイティブソフトウェアでは純粋に作業効率が上がる。コンテンツの最終出力が16:9であっても、制作中は4:3や16:10の方が作業領域を有効活用できるのだ。
ディスプレイにはソニー製最新高輝度パネルを搭載しており、発色と明るさはXREAL One Proを明らかに上回る。
明るい屋外でも視認性が落ちにくい。
視野角については正直に言うと、52°と57°の差は実使用では「劇的に違う」ほどではない。
ただ、漫画や縦型コンテンツに限っては縦の視野角が広いXREAL One Proのほうが読みやすく、BlenderなどUIが多いソフトでは縦解像度の高いVITURE Luma Ultraに軍配が上がる。
用途次第で向き不向きが分かれる部分だ。
そして地味だが革命的な機能が視力補正ダイヤルだ。
XREAL One Proでは購入後にメガネ店で度付きレンズをオーダーし、届くまで約1ヶ月待った上に追加費用もかかった。
VITURE Luma Ultraはダイヤルを回すだけで視力に合わせた度数補正が即座に完了する。目が悪いユーザーの参入障壁を一気に下げた、見逃せない改善だ。
注)Lumaベースモデルは最大 -6.0Dまで、Luma Ultra は最大 -4.0Dまで度数調整が可能。近視の度数が調整範囲を超えたり乱視がある方は、以下のサイトより度付きレンズの作成も可能だ。。
VITURE Lumaシリーズ専用 レンズフレーム
(https://www.viture.jp/product/viture-luma-prescription-lens-frame)

③ レビュー本編:XREALの課題を克服しているか?
結論から言えば、主要な課題はほぼ克服されている。
まず外見。スケルトンボディに、左のテンプルに仕込まれたLEDイルミネーションが映えて、装着時のルックスはXREAL One Proと別次元だ。
「これ、何ですか?」と聞かれる側のデバイスになった。さすがはお洒落の最先端、カリフォルニアデザインである。
大学でも大いに盛り上がった。

京都精華大学のTA石川氏にARでBlenderを試してもらったところ。
寝っ転がりながらでも目の前に巨大画面が広がっているので快適に作業ができる。

発熱も大幅に改善された。XREAL One Proではまぶたの上が触れないほど高温になるが、VITURE Luma Ultraは長時間使用しても目元に不快な熱を感じない。
XREAL One Proが本体側でトラッキング処理を完結させているのに対し、VITURE Luma UltraはSpacewalkerアプリ側でDoF計算を処理しているためだと思われる。
健康面での安心感が段違いだ。
接続方式も進化した。
XREAL One ProがUSB-C直差しなのに対しVITURE Luma Ultraはマグネットコネクターでワンタッチ接続できる。寝転がって使うとき、新幹線や夜行バスの中で素早く装着したいとき、この差は思いのほか大きい。
手元の視認性も完全に解決されている。三角形のプリズムのおかげで、装着中でもキーボードや手元が普通に見える。

XREAL One Proで何度もお茶をこぼし、ケーブルを抜き、ノートPCを床に落とした悲劇は繰り返されなかった。
三角形のプリズム形状の弊害で明るい環境では鼻や手元がわずかに反射して見えることがあるが、ソニー製高輝度パネルの明るさのおかげで使用中に気になるレベルではない。
PC接続はSpacewalkerアプリを経由することで、AR空間に6DoFで画面をマッピングできる。デフォルトでは3DoFのウルトラワイド表示のみのXREAL One Proと比べ、空間配置の自由度は圧倒的に高い。
唯一の課題:0DoF時の首振り酔い
惜しい点が一つある。通常使用時の画面追従処理だ。
XREAL One Proは首を動かすと、画面がわずかに遅れてガウシアン補正(スムージング)をかけながら滑らかに追従する。この”絶妙な遅延”のおかげで長時間使っても酔いにくい。
一方、VITURE Luma Ultraは現時点では首振りと画面が完全同期した視点固定モードのみで、フレームレート分のズレが蓄積して酔いを引き起こしやすい。ジャイロ・加速度センサーの出力に対してデュレーションと平滑化処理を追加するだけで解決できる問題なので、ぜひソフトウェアアップデートで早急に対応してほしい。
この一点が改善されれば、VITURE Luma Ultraはクリエイティブ系ARディスプレイとして市場を席巻するポテンシャルがある。
この点について、スマホ接続時には今後発売予定のアダプターにより「SpaceWalker」経由で 3DoF 対応予定とのことなので、期待したい。
④ 総評:VITUREとXREALで迷っている人へ

VITURE Luma UltraはXREAL One Proが抱えていた課題の大部分を解決した、完成度の高いARグラスだ。
外観・発熱・接続方式・手元の視認性・視力補正・ゲーム対応──どれをとってもVITUREに軍配が上がる。外出先での日常使いや、ゲームも楽しみたいユーザーには迷わずVITURE Luma Ultraを勧める。
一方、自宅でより広い視野角で映画や漫画を楽しみたいなら、XREAL One Proのほうが向いている。ソフトウェアの安定性やUIの洗練度では、老舗メーカーとしてのXREALの蓄積がまだ一日の長だ。
ウェアラブルデバイスは、実用品である以前にファッションアイテムだ。
その観点でVITURE Luma Ultraが圧倒的に勝っているのは、製品の方向性として正しいと思う。
首振り酔い問題のアップデートが来れば、評価はさらに跳ね上がる。
⑤ネックバンドを使った6DoFトラッキングの新体験

もう一つの注目機能は、世界初で実現したネックバンドを使った6DoF(空間固定)ハンドトラッキングである。
ネックバンドにはAndroidベースのOSが搭載されており、単体でも空間にディスプレイを固定しながら映画視聴やブラウジングができるのは当然として、空間に絵や文字を書いたり、空間固定のゲームが楽しめる。
さっそく大学で試してみると、広い教室全体をトラッキングし、かなりの範囲で空間に絵や字を描くことができた。


空間全体をホワイトボードとしてアイディアをまとめたり、巨大な3D絵を描くこともできとても感動した。
また、いくつかのゲームコンテンツもダウンロードすることができ、夢にまで見た空間固定のARゲームを遊ぶことができた。これは自分でも作ってみたいところ。

Unityで対応コンテンツを開発するためのVITURE XR SDK for Unityが提供されているので、知識のある方はどんどんコンテンツを開発していただきたい。
AppleVisionProやMetaQuest3などは、ビデオカメラ越しの世界にCGを合成するが、VITUREでは実際の世界にCGを固定してコンテンツを楽しめるのが特徴で、しかもその軽さが圧倒的だ。まだまだ対応するコンテンツは少ないが、秘めたポテンシャルはどのデバイスにも負けない。

私が担当する学生さんに試してもらったところ、本物の空間に直接描けるという体験に、大盛り上がりだった。
VITUREが流行すれば対応コンテンツも増えていくと思うので、ぜひ主流になってほしい。
⑤追記:2D→3D変換がヤバい件
最後にもう一つ触れておきたい機能がある。VITURE Luma Ultra独自の「Immersive 3D機能」(イマーシブ3D機能)だ。
普段見ているYouTubeの動画やミュージックビデオをAIがリアルタイムで3D変換してARグラスに映し出してくれる。
Aiobahn feat. やなぎなぎのRe: searchlightのミュージックビデオがお気に入りで、いつも画質や音質のレビュー用に使用している。
紙芝居のような絵柄の動画だが、3Dモードで見るとレイヤードに奥行きとの視差があり、見慣れた映像でも新鮮な気持ちで楽しむことができた。
ほぼ何でも自然な奥行きの3Dにできるので、平面的なAR体験に満足していない読者の方は、ぜひ実力を試してほしい。
いずれもVITURE Luma Ultraでしか体験できない機能なので、機会があればぜひ実機で試してみてほしい。
とにかくカッコよく、間違いなく世界最先端のデバイスなので、ぜひ手に取り、お洒落なカフェにでも出掛けてみてほしい。
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